スムーズに後継者へ株式譲渡する方法
会社を経営しているオーナーにとって、後継者問題は深刻な課題です。
後継者自体がいないという人も多いでしょうが、後継者はいるが、株式譲渡のタイミングをいつにすべきか?と悩まれる人も多いのではないでしょうか?
実際、自社の株を売買したり贈与したりすると、その時点で贈与税や所得税がかかってきます。手持ち資金が充分にあれば良いのですが、そうでない場合には後継者に株を譲るタイミングを見計らっているうちに70代を過ぎてしまった・・・などと言う話しをよく聞きます
そこでこの記事では株を信託することによって、スムーズに後継者へ株式譲渡ができる!という話題に触れていきたいと思います。
この記事をご覧になれば、あなたが経営する会社の後継者に対して、贈与税や所得税の支払いを気にすることなく、あなたや会社にとって好ましいタイミングで株式を譲渡することができることでしょう。
ぜひ最後までお読みくださいね!
スムーズに後継者へ株式譲渡するなら、株式を〇〇する!
贈与税や所得税の支払いを先送りしつつ、後継者に株式を譲渡する方法・・・答えを先に言ってしまうと、
株式を信託する
という方法です。ここから詳しく解説していきます。
まず「株式を信託する」と聞くと、「証券会社などに依頼するのか?」とお思いかも知れません。ですがそれは株式投資信託のことを指し、本稿における趣旨とは別のものです。
株式を後継者であるあなたの子どもや孫、あるいは従業員に対して信託することを指します。
当サイト内では不動産や金銭などについて、信託できることのメリットについて多く触れていますが、信託はそれだけにとどまらず、会社株式も信託することができます。
具体的な説明をしましょう。
株式を信託することにより、株式の名義は後継者(受託者)に変わります。しかし、その権利はそれまでの株主であるあなた(信託者)に残ります。したがって株式信託をした際に、その時点での所得税や贈与税などの課税はかからないのです。
とはいえ、所得税や贈与税を永久に支払わなくて良いわけではありません。信託者であるあなたが亡くなり、権利が後継者に移った時点で課税されることになります。
また、相続の際には必ず遺産分割協議が行われますが、事前に信託を活用することで、あなたが亡くなった際は遺産分割協議の対象にもならず、戸籍収集等の相続に関する手続きはしなくても良い、というメリットもあります。これは信託法に基づいて受益権が移動するため「相続に当たらない」と見なされるからです。ただし税金に関しては、みなし相続として相続税と同じ基準で課税されることになります。
当面の税金を支払い無しで株式を譲渡するメリットとは?
つまり「株式を信託する」を正確に言うなら「株式を渡す」のではなく「株式を託す」が適切な表現と言えるでしょう。
「株の名義だけを後継者に先に渡す」というイメージです。
こうしておくことで、株主としての権利は引き続きオーナーであるあなたにあり続けますから、議決権行使についてもあなたの意見を十分反映させられます。
それであれば、株式信託を採用することで、あなたが後継者と見定めた人物が本当にふさわしいか、時間をかけて検討することも可能です。万が一、ふさわしくないとなれば、信託契約の中で受益者変更権者を決めておき、受益権を回収できるという仕組みを作ることも可能です。
一度渡してしまった権利を取り戻すのは、一般的にはほぼ不可能です。しかし、信託を活用することでそうしたことも自由に行うことができるのです。
最後に
株式信託について、少し興味を持っていただけたでしょうか?
信託法を活用することで、一般的には難しいと考えられていることに関しても自由がきく状況を作り、意思を存分に反映させる仕組みを作りだすことできるのです。
信託について、少しでも興味を持っていただけたら幸いです。