相続ルールの不便さと信託の便利さ
法定相続制度ができた昭和22年から令和6年で77年も経っています。時代が変わっているのに、なのに相続のルールは何も変わっていないんです。
そして、所有権は絶対である。所有者が絶対的な権利をもっていますね。名義を持っている人は当然権利も持っている。
これを分けることができないから、下記のような不便さがありますね。
今日は、こんな相続ルールの不便さと信託の便利さについてお話しようと思います。
例えば、自宅不動産を所有しているお父さんが認知症になれば、名義を持っている人が何もできないので、成年後見人を付けなければ財産は凍結になります。
次にお父さんがお亡くなりになったときに遺言をしていなければ、もう当然のように法定相続になりますよね。単に戸籍に入っているというだけで、どんな人物であっても当然に法定相続人になれるんです。そして、法定相続人全員で手続きしないと何もできないです。
じゃあ、遺言をしていればいいの?
じゃあ、遺言をしていればいいのかというと、遺留分侵害額請求権は残りますから、遺留分権利者は遺留分を請求することはできます。請求が来たら、払わないといけません。遺留分には勝てません。
そして遺言では、次の次の代の承継者までは指定できませんし、遺言は死んだ後でなければ効力を発せられません。遺言はすばらしい制度ですが、このようにどうしても「所有者の思い通りに」という観点で限界があるんです。
それに相続では共有状態になることもある
また、1つの財産に所有者が複数いるという共有状態になっていれば、所有者全員の同意がないと財産全体は動かせないですし、共有者の過半数の同意がないと賃貸借もできない。というふうに、ひとつの財産が共有物になっているととっても不便なんですね。
ところが、相続になれば共有物になる場合も多いです。この原因はすべて名義と権利が一体になっていて、かつ法定相続制度に従わないといけないということを決められてしまっているからではないでしょうか。
信託するとどうなるの?
では、信託の仕組みについて少しお話しますね。
信託とは、特定の財産の「名義」だけを財産を任せる人に「移すこと」なんです。
名義だけです。権利は移さないんです。
つまり、自分に権利を残したまま名義だけを信頼する人に託すんですね。この仕組みを条文化したのが信託法なんです。
信託した財産はすべて民法の世界から離れて信託法の世界に行きます。だから、民法のルールである「法定相続制度は適用されない」ということになります。
信託は、このように「相続ではない財産承継」を契約で行うことができるんです。
このお話をすると、「そんな便利で都合のいい仕組み、本当に良いんですか?」と聞かれることがあるのですが、自分の財産を自分の希望とおりに承継できることの方が普通だと思いませんか?
日本では当たり前の戸籍制度ですが、戸籍がある国の方がずっと少ないんです。法定相続制度では、どうしてもあげたくない人まであげる対象になってしまうこともあります。だからこそ、相続ではない財産承継、民法から外れた財産承継を契約で行う必要があります。
自分の大切な財産の行く先は自分で決めたいと思いませんか?
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