法務局の遺言書保管制度ってなに?
最近は終活として遺言を遺す方も増えてきていますね。今日は、お手軽にできる法務局の遺言書保管制度についてお話してみたいと思います。
法務局に遺言書を預けることができる?
遺言書には、主に自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類がありますが、法務局に預けることができるのは自筆証書遺言です。
法務局に預けることができる前は、自筆証書遺言であれば、
①方式不備で無効になるおそれがある。
②紛失・改ざん・隠匿などのおそれがある。
③遺言書の存在が知られないまま相続が行われるおそれがある
などのデメリットがありました。しかし、これを法務局で預けられることによって
①法務局職員が方式不備がないか確認してくれる。
②法務局で厳重に保管するので、紛失・改ざん等のおそれがなくなる。
③相続開始後、法務局に遺言書が保管されている旨を通知するとして、デメリットであったものがなくなり、非常に使いやすくなりました。
さらに、家庭裁判所での検認が不要となったことも大きなメリットですね!
デメリットは?
ただ、あくまでも「自筆証書」であるため、遺言を自分で書かないといけません。
特に高齢の方の場合は、たくさんの文字を書くことが大変ですので、自分で書かないといけないということがデメリットになるかと思います。
では、自筆証書遺言の書き方をお知らせしますね。
法務局で保管できるのは、民法968条の要件を満たした自筆証書遺言と決まっているので、こちらの要件を満たさなければなりません。
- 遺言書の全文、日付、氏名を自書し、押印
- 自書ではない財産目録を添付する場合は、そのすべてのページに署名押印
- 書き間違った場合の訂正などは、その場所がわかるように示した上で、訂正又は追加した旨を付記して署名し、訂正又は追加した箇所に押印。
以上が必要です。
さらに様式も決まっています!
制度上決められた様式があるので、こちらに合わせて作成する必要があります。
- A4サイズであること
- 上側5ミリ以上、下側10ミリ以上、左側20ミリ以上、右側5ミリ以上の余白を確保すること
- 片面のみに記載すること
- 各ページに番号を記載すること
- 複数ページでも綴じ合わせないこと
以上を守って書かないといけません。
このように、自筆証書遺言は1人で気軽に作成できるメリットがありますが、様式、要件をすべて満たし、作成することに不安を感じる方も多いと思います。
行政書士は自筆証書遺言を書く際のお手伝いをすることができますので、お1人で書くことに不安がある方はお気軽にご連絡をいただければ幸いです。
さて、ここからは遺言書が無事書けた後の流れを見ていきましょう!
まず、①遺言者の住所地 ②遺言者の本籍地 ③遺言者が所有する不動産の所在地
のいずれかを管轄する法務局の中から申請先を選んで、申請書を作成します。
申請書は法務省のHPからダウンロードできますし、最寄りの法務局の窓口で入手することも可能です。
申請書には、「指定する者に対する死亡後の通知等欄」があります。この指定者通知が、遺言者が亡くなったことを法務局が知ったときに、指定された対象者に対し、遺言書を保管している旨を通知する制度です。通知の対象者は3名まで記入することができます。
ここまで出来たら、添付書類を準備して法務局に予約をとりましょう。
添付書類とは?
添付書類とは?
- 遺言書
- 保管申請書
- 本籍と戸籍の筆頭者の記載のある住民票の写し
- 顔写真付きの官公署から発行された身分証明書
- 手数料として3,900円の収入印紙
※予約は、法務局手続き案内予約サービス専用のHPがあるので、ここから予約します。
ここまで出来たら、実際に予約した日時に法務局(遺言書保管場所)に行きましょう!
必要書類を全部用意して、予約した日時に法務局に行き、保管証をもらって終了です。
保管証とは、遺言書保管所の名称及び保管番号が記載されたものです。
遺言書を法務局に預けていることをご家族にお伝えになる場合には、保管証を利用されると便利です。ただし、再発行ができないので、大切にしてくださいね。
以上で自筆証書遺言のお話を終わりたいと思います。
いかがでしたか?
遺言書を遺すことは残されたご家族にとって、とてもありがたいことです。その後のトラブルを防ぐためにも、生前の財産承継対策として、遺言書や家族信託など何かしらのご利用をいただきたいと思います。
因みに、八代亜紀さんも中尾彬さんも遺言書を遺されていましたね♪