家族信託の契約書にひな形は?!
よく、「家族信託のひな形ありませんか?」と聞かれます。家族信託のひな形は、本来作りようがないものなのですが、一部の金融機関などではひな形があります。
今日は、なぜ家族信託のひな形の使いまわしがいけないのか?なぜひな形を作れないのか?をお話してみたいと思います。
- 家族信託は未来に起こる不具合の可能性をできるかぎり排除するものでなければなりません。
- それが私たち士業の責任だと思っています。
- 例えば、受益者連続を使った場合のその時の相続人間の関係性はどうなっているだろう?
- 例えば、自宅を信託して売却した場合に気を付けることは?
- 例えば、信託した自宅不動産が共有名義だったら?
- 例えば、信託した土地と建物のどちらか一方だけが共有名義だったら?
- 信託をしてもしなくても相続税はかかります。
- 受託者の注意義務はどうしていますか?
- 信託監督人に過大な権利を渡していませんか?
- 最後に
- 花橋こずえ行政書士事務所は、お客様の人生に寄り添います。
- じゃあ、花橋さんが病気などで自分たちより先に亡くなったらどうするの?
家族信託は未来に起こる不具合の可能性をできるかぎり排除するものでなければなりません。
簡単なところから言うと、「例えば受託者が先に亡くなったら?」それに対応する契約書になっていますか?
「例えば、受託者が契約書にある信託事務を遂行しなかったら?」
「例えば、第二受益者が第一受益者より先に亡くなったら?」
「例えば、受託者と受益者が同一人物になってしまったら?」
などの不具合に対処できる内容の信託契約書が出来ているでしょうか?
今、例に挙げたのは、すぐに思いつく、簡単な項目ばかりです。
ご家族の状況や関係性は、皆さんそれぞれ違いますよね。夫婦関係だって十人十色です。ましてやご家族の関係はそれはいろいろです。そのような関係性の中で、今、考えられる不具合を洗い出し、それに対応できる信託契約書にしなければならないんです。
それが私たち士業の責任だと思っています。
それに、今の時点で100%不具合を洗い出せるかと言ったら、それは不可能です。
なぜなら、信託は、今は実際に起きていない、未来に起こるかもしれない事項を予測しなければならないからです。未来に何が起こるかなんて、誰にもわかりません。
ですので、私たちは、ベストは無理でもモアベターを目指します。
例えば、受益者連続を使った場合のその時の相続人間の関係性はどうなっているだろう?
なども予測します。そのときの財産の総額は?相続人間で不公平が生じないか?もちろん、不公平を承知で信託するのも有りですが、そこまでのお気持ちがないなら、できるだけ紛争になるようなことはしたくないですよね。このような部分もお客様によって考え方やご希望はいろいろなんです。
例えば、自宅を信託して売却した場合に気を付けることは?
その不動産の売買契約書は信託法を準拠したものになっていますか?
信託した財産を売るのですから、売買契約書もそのことがわかるように記載しなければなりません。
通常の普通の売買契約書ではダメなんです。
例えば、信託した自宅不動産が共有名義だったら?
例えば、信託した土地と建物のどちらか一方だけが共有名義だったら?
どうですか?
信託契約書のひな形ではだんだん対応が難しくなってきたのではないでしょうか?
特に、土地は夫婦共有名義だけど、家屋が夫の単独名義の場合を想像してみてください。
家屋が古くなってきたから、改修工事をしたい!では、信託財産から改修工事費用を出しましょう。
信託財産は妻名義の預金から信託してあります。どうですか?
これは問題ですね。平たく言うと、妻のお金で夫の家を改修工事することになるんです。利益相反になる可能性がありますね。もしかしたら「贈与」とみなされるかもしれません。改修工事費用は「夫婦間の居住用不動産の贈与」には当たりませんから、年に110万円を超えた部分については贈与税もかかってきますね。※夫婦の間で居住用不動産を贈与したときには基礎控除110万円+最高2,000万円までの配偶者控除が使えるという特例があります。
信託をしてもしなくても相続税はかかります。
ですが、信託した財産の受益者に夫婦のどちらかを当初受益者にすることができれば、
相続税の配偶者控除が使えるかもしれません。(要件を満たした上で使えます)
受託者の注意義務はどうしていますか?
こちらは、先日のお役立ち情報でも詳しくお話していますが、善管注意義務が課されていますか?
本当に善管注意義務が必要なのでしょうか?
善管注意義務が課されているのであれば、信託財産を1円単位まで、しっかり帳簿に付けていなければなりませんが、ちゃんとできていますか?
信託監督人に過大な権利を渡していませんか?
信託監督人は、本来は信託契約全体をみて、受託者の良きアドバイザーとして並走すべき人です。
その人に契約書内で過大な権利(例えば信託契約の内容変更や単独終了)などの権利を渡していることは、信託法に準拠していると言えるのでしょうか?
最後に
いかがでしたか?
信託契約書は作って終わりではなく、むしろ締結してから信託が始まります。
皆さんがお願いしたい士業や金融機関は、信託契約書作成後もアフターフォローがありますか?
何か困ったときにすぐに聞けますか?
家族信託契約書を作って終わりではないですか?
花橋こずえ行政書士事務所は、お客様の人生に寄り添います。
信託契約をしたお客様のライフステージの変更やご希望の変化に対応して参ります。
何かわからないことやご不安があるとき、信託した不動産を売却したいとき、など何かありましたらその都度精一杯の対応をさせていただきます。
私の行う家族信託は、お客様と共に人生を歩むことなんです。
ですので、たくさんの案件を受任することはできません。
じゃあ、花橋さんが病気などで自分たちより先に亡くなったらどうするの?
なんて声が聞こえてきそうですね。
その通りです。人(人間)はそのようなリスクも伴いますよね。
なので、私は家族信託を専門にする「(社)民事信託相談センター」に加盟しているんです。
法人は病気になりませんから。それでも絶対かと言えば、絶対ではないです。
ベストは無理なので、モアベターを目指しているんです。
それに(社)民事信託相談センターには私のような行政書士だけではなく、司法書士、税理士、FPさん、保険やさん、不動産やさん、もいて未来に起こる可能性のある不具合の洗い出しをみんなで行っています。私一人の知識では、補えないことも、チーム皆の知識で多方向から見ることによって、よりモアベターに近づく信託契約書が作れるんですね。
自分たちにはどんな契約が合っているのか?他の家族信託を取り扱う士業や金融機関と、いろいろ比較検討していただければ幸いです。