再婚夫婦のための家族信託
昨今の日本では、離婚と再婚が日常的によく行われるようになってきました。
昔では考えられなかったことですよね。
それだけ現在では自由に自分の幸せを求め、離婚も再婚も自分の意思で自由にできるようになったことはとても良いことなのですが、法定相続制度ができた77年前にはこういったことは想定されていませんでした。
今はステップファミリーと呼ばれますが、子どもを持つ親同士が再婚をして新しい家庭を持ったり、また、中には離婚・再婚を繰り返す方もおられます。
そのため、いろんなところに「血縁を持った子供が実はいる」という状況になっている方もおられます。
今日はそのような場合に「信託」がどんな活躍ができるのか?をお話してみたいと思います。
法定相続制度は77年前から何も変わっていない
昭和22年から法定相続制度は何も変わっていないので、血縁関係がある限り、その子どもの相続人としての地位を奪うことはできないんです。
例えば何十年も前に離婚して、そのときに生まれたお子さんに今更連絡を、と言っても普通は連絡先もわからないことが多いですよね。それでも、法定相続制度による日本では、過去の戸籍を遡って相続人としてそのお子さんを探し出して、連絡を取らない限り、相続はストップしてしまいます。相続の手続きが途中でできなくなってしまうんですね。
遺言があったとしても?!
そしてもし遺言があったとしても、外されたそのお子さんには遺留分侵害額請求があるんです。そのため、遺言執行者はその外されたお子さん(相続人)に連絡をとらないといけない。
連絡があって、そのお子さんは突然「あなたは相続人ですよ。遺言ありますよ。」と告げられるんです。もうびっくりですよね。
「もう何十年も前に別れた親だけれども、財産持っているなら、遺留分請求しようか」となる方が多いです。
さぁ、皆さんどう思われますか?法定相続制度が今の日本の現状についてきていないんですね。
法定相続制度ができたのは昭和22年。サザエさん一家がモデル世帯です。おじいちゃん、おばあちゃんと同居も当たり前にあったですし、離婚、再婚はよほどのことがなければしかなった時代ですね。
それに対して現代は多様性の時代です。法定相続制度ができた時代と現代では世帯構成も全く違うのに法定相続制度が変わっていないのですから、いろいろなところに弊害が出てきています。例えば、
何が問題になるの?!
こうなると、互いに子がいる再婚の場合、大きな問題に繋がります。なぜなら、1回配偶者に渡った財産というのは、次は配偶者側の相続人に行くからです。
配偶者側に前の結婚のときの子がいればその子も相続人として財産を受け取る権利が生まれます。
そこで、家族信託を活用してはいかがでしょうか?
信託ならではの機能である承継機能を活用します。
財産を信託すると、それは信託財産となります。民法上の財産とは区別されるんです。
そして、信託財産は信託法によって承継されていきますから、受益者を最初はAさん、次はBさん、その次はCさんと指定しておけば、そのとおりに承継されていきます。
「相続」ではないので、何十年も前に離婚したお子さんに連絡をとる必要もありません。
信託財産は、自分の固有の財産と混入されませんから、民法の法定相続制度によらずに財産承継が可能になるんです。
信託法91条には、このように財産の承継ができることが明記されています。とても大事な条文です。
皆さんの大切な財産を本当に渡したい人に渡す。これが可能な信託を活用してみませんか?