信託した不動産の登記簿謄本

家族信託を活用して、親の認知症に事前に対応しておこうと考える方が増えてきました。特に、自宅不動産が親名義の場合は、親が認知症になってしまったら
売却もできなくなりますし、固定資産税は毎年かかってきますし、大変ですね。そこで、今日は、実際に自宅を信託したら、不動産の登記簿謄本はどのように記載されるんだろう?!ということを確認していきたいと思います。
こちらは、自宅不動産を信託して息子さんに任せたときの登記簿謄本の例です。
不動産を信託すると、信託登記が行われて、実際にこのように登記簿謄本が作成されるんですね。
そして、信託した不動産は「信託財産」となって「信託目録」というものも記載されるんです。
登記簿謄本_信託_見本謄本中の「権利部(甲区)」に記載される事項
こちらは不動産の所有権に関する事項が記載されています。
登記の目的のところに「所有権移転」と書かれていて、あたかも売買などで所有権が移転したかのように見えますが、右側の「権利者その他の事項」のところに、原因が「信託」によることが記載されており、所有権移転の下には「信託」の文字が明確にされていて、さらに「信託目録」も付いていることがわかります。さらに、名義人を「所有者」ではなく、「受託者」と明記していますね。
信託目録に書かれていること
次に信託目録を見てみましょう。ここでは、信託をした人(委託者)が誰か。ということ、
信託財産の管理運用を託された人(受託者)が誰かということ、さらに信託をしたことによって利益を受ける人(受益者)が誰かということが記載されます。
この例では、山田父郎さんが委託者で、山田小太郎さんが受託者、そして山田父郎さんが受益者となっていることがわかりますね。
山田父郎さんが委託者であり、受益者です。そうなんです。財産権の移転が無いんですね。
なので、贈与税などがかからないんです。
ここは、家族信託を行う大きな魅力になりますね。
そして、右側の部分を見てください。信託登記には信託条項が付くんです。
信託条項に記載される内容は?
信託条項には、何のために信託をするんですか?というのと受託者は何をできるんですか?というのが書かれるんですね。
例としてここに書いてあるのは、受託者(子供側)は信託不動産を第三者に賃貸することができる。子供が親がどういう状態になっても、アパートや自宅でも賃貸していいですよと そして2番 受託者(子供側)は信託不動産を換価処分 売っちゃっていいですよ いよいよになったら自宅を売って介護費用にあててくださいというような項目をどんどん書いていきます。
この信託条項の中を見ることによって、実際に受託者がその不動産に対してどんな権限を持っているのか、登記簿上で確認できるようになっているわけなんです。
もちろん、売りたくない場合は、信託の中で、親が、この家は売っちゃいかんと、そういう信託条項が入ります。要するに、財産を持っている方の希望するとおりに信託条項を作れるということです。
こういう登記をすることによって、この不動産が信託財産である、受託者はこんな権限を持っている、ということが明示されて財産管理を子供たちがそれに従って自分の意思で自由にできるということなんですね。
もちろん、受託者(財産を任された人)はお子さんでなくても、誰でも良いです。ご夫婦で信託をするのも、信頼する友人に託すのも自由です。
このように信託は、財産の行方や使い道に自由を与えるものなんです。
よく、相続財産を法定相続人以外に渡したい場合に「養子縁組」することが行われてきましたが、養子縁組は心理的抵抗も多いですよね。実際に戸籍が変わってしまいますし、基本的に苗字も変わってしまいます。
私のところへも同性カップルの方から養子縁組を検討したいとご相談を受けたことがありますが、「慎重に考えてください」とお答えしております。
確かに、財産を渡すことはできますが、親子関係になってしまいますから、本当はパートナーとして結婚されたいのに、親子関係になることは必ずしも希望とおりとは言えないと思っているんです。
近い将来、法律が改正されて、同性カップルも認められるようになるかもしれませんし、その時に養子縁組していたら、結婚したくてもできませんから。
家族信託は、特に、不動産がある場合には、登記もされて、信託財産であることが明確になって託された側の人の判断で自由に管理運用できる制度ですから、選択肢の一つとしてご検討いただければ幸いです。
