家族信託契約の流れ
家族信託は、あなたの親やお子さんなど、大切なご家族が認知症や病気などにより認知能力・判断能力が失われてしまっても、ご本人の財産管理をあなたがご本人に代わっておこなうことが認められる制度です。
具体的には、銀行や不動産の手続きがスムーズに進むため、ご本人の医療施設・介護施設の利用に必要なお金を本人の財産から運用できるようになります。
高齢化が進むなか、特に80代以降の高齢者の認知症率が上昇し、口座や不動産が凍結されるケースが増えていますが、家族信託はそうした問題を回避するうえでも重要な手段といえます。
そこで、この記事では、家族信託契約を結ぶ際の具体的な流れについて説明していきます。
※なお、家族信託とは何か?について、詳しくはこちらで説明しています。あわせてご覧ください。
家族信託契約を結んでおくべき人とは
家族信託を結んでおくべき人は、大きく以下の2つがあげられます。
●今後認知症の恐れがある高齢の親を持つ人
●障がいにより、判断力がない子をもつ親
認知症や病気、あるいは生まれながらに認知能力・判断能力が失われた人を持つご家族が家族信託を結んでおくべき人と言えるでしょう。
家族信託契約を始めるべきタイミング
家族信託契約を結んでおくべきタイミングをケースごとに解説いたします。
■認知症の恐れがある親を持つ人の場合
高齢の親を持っている人は、親が認知症などにより認知機能・判断能力が失われる前に家族信託を結んでおく必要があります。
認知機能・判断能力が失われてしまった後では信託契約を結ぶことができなくなり、ご家族が親の財産を管理することはできなくなります。
その場合、後見人制度を用いることで親の財産を管理することができますが、家族信託を用いる場合と比較して制約が多くなるのが欠点です。
■障がいにより、判断能力がない子を持つ人の場合
障がいなどにより、判断能力がない子の財産は、子ども本人が成人する前に親や成人した兄姉が家族信託を結んでおく必要があります。ここでの成人は20歳ではなく、2022年4月以降は18歳となりましたので注意が必要です。
子どもが成人してしまった後では信託契約を結ぶことができなくなり、ご家族がお子さんの財産を管理することができなくなります。
その場合、後見人制度を用いることで親の財産を管理することができますが、家族信託を用いる場合と比較して制約が多くなるのが欠点です。
家族信託契約の準備
■どのような資産を信託に含めるか
信託に含められる資産には、現金、預貯金、不動産、有価証券などがあります。特に不動産は、家族の居住や運用資産として重要な要素となるため、慎重に考える必要があります。また、生活に必要な資産と余剰資産の区別を明確にしておくと良いでしょう。
■専門家への相談の必要性
家族信託は法的な要素が多いため、行政書士や司法書士、税理士といった専門家に相談することが不可欠です。特に、信託契約書の作成、税金に関するアドバイス、資産の適切な管理方法などについて、専門的な助言を受けることが重要です。
家族信託契約の流れ
家族信託契約で注意すべきポイント
■家族間の信頼と合意の重要性
家族信託は家族間の信頼が前提となる制度です。信託を成立させるためには、家族全員が信託の目的や運用に納得し、合意していることが不可欠です。信頼関係が壊れると、後のトラブルや紛争の原因になるため、慎重な話し合いが必要です。
■契約内容に不備がないようにするための注意点
信託契約書には、信託の目的や信託財産の範囲、受益者の権利などを明確に記載する必要があります。契約内容が不明確だったり、必要な要件が満たされていない場合、後々の法的紛争や信託の無効化につながる恐れがあるからです。
また、契約の細部に至るまで専門家の助言を受け、不備がないか慎重に確認することが重要です。
■定期的な見直しが必要な理由
家族信託契約は、時間の経過とともに家族の状況や法的環境が変わるため、定期的に見直す必要があります。例えば、受託者の変更や財産の追加、法律改正に伴う調整が必要となることがあり、適切な見直しを行うことで信託契約が現実に即したものとなります。
まとめ:家族信託で将来の安心を手に入れる