絶対に遺言状を書いた方が良いケース7選
相続を円滑に進めるため、生前に遺言状を残しておくべき・・・というのは一般的に言われることです。
とはいえ、遺言状を書くとなると、それなりの時間と労力、そしてお金がかかります。したがって、
我が家には遺言を書くほど、遺産はないから必要ない
うちの家族は仲が良いから相続で揉めることなんてない
などの理由で敬遠してしまう人も多いのではないでしょうか?
ですが、いざ相続の場になると、相続人に加え相続人の配偶者や利害関係者などが協議に入ってくるなどにより、遺産分割協議がまとまらなかったり、紛争に発展するといったケースが多々あります。
もし遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申し立てることになり、場合によっては争うことになるのですが、遺産総額の金額別における調停の割合を見ると、意外にも少額な場合の方が調停に至るケースが多いことが分かっています。
実際、法務省の司法統計データによると、遺産総額が1,000万円以下の調停件数の割合は全体の34.7%にのぼっています。
総数 / 遺産総額 | 1000万円 以下 | 5000万円 以下 | 1億円 以下 | 5億円 以下 | 5億円超 | 算定不能・ 不詳 |
5,807 | 2,017 | 2,492 | 655 | 369 | 37 | 237 |
100.0% | 34.7% | 42.9% | 11.3% | 6.4% | 0.6% | 4.1% |
引用元 : 竹内 豊 著「行政書士のための遺言・相続実務家養成講座」
したがって、もしあなたが亡くなったあとの遺産相続を争いなく、スムーズにしておきたいと思うなら、遺産総額の大小に関係なく遺言を書くことをおすすめします。
そこで、この記事では遺言を書くメリットとは何か?を説明し、特に遺言状を作成した方が良いケースを7つご紹介していきます。ぜひ最後までお読みください。
1.改めて、遺言状を書くメリットは?
遺言状を書くことの一番のメリットは、「相続人同士での遺産分割協議が不要になる」ことです。
逆に遺言状が無ければ、相続人同士で遺産の分け方を協議して、その協議が整ってはじめて遺産分けができることになるのですが、相続人のうち一人でも同意しない者がいれば、いつまでも遺産分けができない状態が続くことになります。
したがって、あらかじめ遺言状に遺産をどのように分配したいかを明確に書いておくことで、遺産相続における争いを防ぐことができます。
2.遺言状を作成しておいた方が良いケース
次に、具体的に遺言状を作成しておいた方が良いケースをご紹介しましょう。
もしあなたが以下のケースのうち、1つでも当てはまるようであれば、遺言状を作成すべきです。
①夫婦の間に子供がいない
夫婦の間に子がいない場合、配偶者だけでなく互いの親や兄弟姉妹も相続人になることが予想されます。遺産の全てを残された配偶者(夫または妻)に相続させたい場合、遺言状が必要です。
②配偶者以外との間に子がいる(前婚時の子または愛人の子)
離婚後も前婚時の子には実の親の相続権があります。前婚時の配偶者の子と現在の配偶者との子が顔を合わせることになり、遺産争いになる可能性が非常に高まります。
③相続人同士の仲が悪い、または行方不明者がいる
預金や不動産の名義変更をはじめとした遺産分割の手続きには、原則として相続人全員の参加が必要です。そのため、相続人同士の仲が悪い場合、協議が難航する可能性が高まります。
また、相続人の中に行方不明者がいる場合、そもそも遺産分割協議ができないので、何とかして探し出すか、不在者財産管理人選任の申し立てをしたり、失踪の宣告をするといった対応が必要です。
多くの手間や時間がかかり、加えて争いになる可能性も高くなります。
④相続人の中に障がい者(精神上の障がいにより、意思能力がない者)がいる
遺産分割の手続きには、原則として相続人全員の参加が必要ですが、相続人の中に意思能力がない者がいると、成年後見人の申し立てなしでは遺産分割協議ができません。
成年後見人が付くと、法定相続分での分け方を遵守しなくてはならなくなり、結果として柔軟な遺産分けが難しくなります。
⑤内縁の妻・子ども配偶者・孫など、法定相続人以外の人に遺産をあげたい
たとえば、内縁の妻・息子の嫁・孫などは法廷相続人ではないため、遺言状なしで遺産をあげることは原則できません。遺産分割協議に参加することもできませんので、これらの人たちに遺産を渡したいとお考えなら、遺言状は必ず必要です。
なお、遺言状を書く以外の方法として、主要な財産を特定して信託を結ぶ方法もあります。
⑥配偶者がすでに他界している
相続人が子のみとなる場合も、配偶者(子からみた親)が健在の場合と比較すると、子ども同士での争いに発展する可能性が高くなります。
⑦家が自営業(個人事業主)である
事業用の資産を複数の相続人で分割してしまうと、現実的に事業の継続が困難になってしまう場合があります。事業を特定の相続人に承継させたい場合には、遺言状にきちんと残しておくことで事業用資産の分割を防ぐことができ、引き続き事業を継続することができます。
3.まとめ
このページでは、遺言状を書くメリットや遺言状を作成した方が良いケースについてご紹介をさせていただきました。
上記のケース以外にも、相続手続きにかかる時間や手間を省きたい場合。や。相続人の精神的な負担を軽くしたい場合なども遺言状を書いておくことで大きなメリットを得られます。
また、生前の対策としては、遺言状に加えて信託を結ぶことで、さらに柔軟な相続をおこなうことができるなど、大きなメリットを得られます。
詳しくは他記事「家族信託とは」などをご覧のうえ、ご参考にしていただければ幸いです。
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