だから遺言状を書いてほしい!

亡くなった人に子がおらず、配偶者(奥さん)が生存されていた場合のお話です。
このお話は、私が実際にお手伝いさせていただいた相続手続きのお話を、個人が特定できないようわかりやすくお話します。
こちらの配偶者(奥さん)と私は何度「遺言状を書いてもらえていたら」と思ったかわかりません。
そのぐらい大変な相続案件でした。
誰が相続人となる?
今回の相続では、遺言状がありませんでした。そうなると、法律上決められた相続人を確定する必要があります。これが法定相続人ですね。
こちらのご夫婦にはお子さんがいらっしゃらなかったので、法定相続人は配偶者(奥さん)と被相続人(亡くなった夫)の兄弟姉妹になります。
相続分は配偶者(奥さん)が4分の3。兄弟姉妹は4分の1を人数で割ります。
被相続人(亡くなった夫)の親族関係が詳しくわからないとのことでしたので、まずは被相続人(亡くなった夫)の死亡から出生まで遡るすべての戸籍を集めました。
私の依頼主である配偶者(奥さん)の体調も芳しくなく、高齢であられたため早急に相続手続きが終わるよう迅速に戸籍を集めていったのですが、ここで大きく躓きます。
ほとんどの兄弟姉妹が亡くなっていた
ひと昔前は兄弟姉妹がたくさんいるのが当たり前の時代でしたから、今回も6人の兄弟姉妹がおられました。ただ、そのうちの4人が既に亡くなっており、代襲相続が起きていたのです。
代襲相続とは、相続人となるはずだった人が相続開始前に死亡したり、相続権を失った場合、その人の子などが相続権を引きつぐ制度です。
今回の場合は兄弟姉妹が亡くなっているので、その子(甥や姪)が相続権を受け継ぎます。
亡くなった兄弟姉妹の子(甥や姪)が誰でどこにいるか?
戸籍をひとつひとつ読み解いて確認していきます。亡くなった兄弟姉妹が離婚再婚を繰り返しており、複数の子供を設けていた場合、その子供たち(甥や姪)が代襲相続人となるため、一人一人の生存の有無と行方を確認していかなければなりません。
同じ県内に住んでいてくれたらまだ良いのですが、日本各地を転々としている代襲相続人の方もおられました。
県外へ戸籍の申請に係る時間はおよそ1週間ほど
北は北海道、南は九州まで、各地を転々としていた代襲相続人さん。1つの県への問い合わせに1週間から10日ほど要しましたので、戸籍の収集だけで時間がとてもかかりました。
最初にご依頼をいただいてから、もう2ヵ月が過ぎようとしていました。それなのに、まだ最終(現在の)戸籍にたどり着けないのです。依頼主である奥さんからの「まだですか?」の問い合わせに理由と現在の状況をお話しますが、このときにいつも思いました。「遺言状を書いていてくれたらよかったのに」と。
兄弟姉妹に遺留分はありません
今回の相続の場合は特に、相続人が配偶者と兄弟姉妹でしたので、「奥さんに全財産を」との遺言状を書いていてくれてさえいたら、このような面倒なことは無くても良かったのです。
奥さんから伺っておりましたが、今回代襲相続人となる甥や姪には1度も会ったこともなかったとのことです。兄弟姉妹の数人とは数回の面識はあったものの、それも全員ではなく、行方が知れないまま連絡をとることもなかったとのことでした。
夫である被相続人が介護中も生活すべての面倒をみてきたのは妻です。親族の誰にも頼ることなく、お一人で夫の世話をしてきました。それなのに、相続が発生したら、会ったこともない甥や姪にまで相続権があると知って驚かれておりました。
無理もありません。ですが、兄弟姉妹が相続人となる場合、このようなことはよく起きることです。遺された奥さんが本当に大変な思いをします。
一度も会ったことがない甥や姪と遺産分割協議をしなければならないからです。
全国各地に住んでいる甥や姪たち。皆さんに連絡をとって、事情を説明して、遺産分割協議をしなければ相続手続きが進められないのです。
年老いた奥さんにとって、それは非常に酷なことです。自分自身の日々の生活も大変なのに、会ったこともない人に連絡をとらなければならない。それが一人だけではなく、今回の相続ではなんと、9人もいたのです。
私も奥さんを励ましつつ、出来ることから一つづつ解決していき、お手伝いをさせていただきました。
亡くなってからでは遅いんです
人が亡くなると相続が開始されます。遺言状が無ければ、法定相続となります。法定相続となれば上記のように大変な作業となるケースがあります。今までお話させていただいたことは、本当にあったことなんです。
「自分の場合はどうだろう?」と一度考えていただけませんか?
亡くなってからでは何も出来ないんです。今、この元気なときに、「自分の場合はどうだろう?」と考えていただきたいんです。遺された家族が大変な思いをしないかどうか?
自分の場合の法定相続人がわからないという方は、ぜひお気軽にお電話ください。花橋こずえ行政書士事務所では初回60分の無料相談を承っております。このような「自分が亡くなった場合の法定相続人を知りたい」というお電話ももちろん可能です。ご自身のために、初回60分の無料相談をぜひ有効活用してください!
相続手続きでお困りの方の一助になれるよう、今後も相続・信託・遺言の専門 浜松市の行政書士として活動してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

